自分そっくりな女性がアブノーマルなSMプレイをしている動画をメールで受けとったかれんは、その動画を見たことで、自分では気づいていないけれど、新しい性癖が開発されつつありました。
しかし真面目なかれんは、そんな淫らな自分を許すことができず、一度だけオナニーをしたあとで、禁欲生活を送っています。そして数日後、謎の動画の送り主が指定するホテルへとタクシーで向かうのでした……
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(本編 ↓)
ゆっくりと通り過ぎる夜景が、美しくも不安定に揺れている。
聖国ホテルへ向かうタクシーの中で、かれんは自分が伝えるべきことをもう一度、整理していた。
――何よりあの動画……あれが偽物だってことを、相手に認めさせないと……こんなイタズラをした理由も知りたい……相手がまともな人間なら、きっと答えてくれるはず。でも、話の通じない人だったらどうしよう……勘違いで一方的に恨まれてるのかもしれない――
かれんは、これまで自分に好意を告げてきた男性のことを思い浮かべた。他人と比べたことはないけれど、人数は多いほうかもしれない。それとなく断ることもあれば、はっきりと拒絶しないといけないこともあった。かれんは結局、婚約者であるタカシしか、男は知らない。
タカシはリーダーシップのある、頼れる男性だ。でも育ちの良さもある。だから上品なかれんとは、よくお似合いだった。
セックスについてはどうだろう?経験の少ないかれんには、正直よくわからなかった。でも、いまだから確実に言えることもある。それは、タカシはあの動画みたいなセックスはしない、ということだ。
あの動画みたいなセックス――
かれんは俯いて、両脚をぎゅっと閉じた。そして、両手をしっかりと握って膝の上に置いた。あの動画のことを思いだすだけで、理由は分からないけれど、本能的に身体の奥が疼いてしまう。顔が火照って乳首が硬く勃起する。尖った乳首の先は敏感さを増して、ブラジャーの内布に触れているだけで、かれんは痺れるような快楽を感じてしまっていた。タクシーがブレーキで揺れる、そんなわずかな刺激。たったそれだけで、硬くなった乳首の先端から頭のてっぺん、そして足の指先にまで、電流のような快感が走り抜けた。甘い電流はかれんの全身を痺れさせ、やがて子宮の奥に溜まっていった。いまや、かれんの子宮は破裂しそうだった。獣のような淫欲がパンパンに溜まっていたからだ。かれんは俯いたまま下腹部に手をあてて、ふうっ、と口から大きく息を吐きだした。ここ数日、あの動画のことを思いだすたびに、欲情しては、こうやってその疼きをやり過ごしてきたのだ。
よし、なんとか……やり過ごした――絶対、負けない……これ以上、こんなイタズラに惑わされてたまるか――
かれんは淫らな欲求を、なんとか理性の力で抑えた。しかしそれでもかれんは、なかば無意識に、円を描くように下腹部を撫ぜまわしていた。ここ数日で子宮の奥に溜まった甘い淫欲の疼き。それはもう、いまにもあふれる寸前だった。はじめのうちかれんは、タカシの胸に飛び込んで優しく触れて欲しいという衝動に駆られた。しかし我慢を繰りかえすうち、誰でもいいから男性に触ってほしい、と考えるようになった。通勤途中の満員電車の中でたまたま複数の男性に囲まれたとき、このままこの男たちに乱暴されたらどんなに気分が解放されるだろう、そう考えてしまったあと、かれんは会社のトイレに駆け込んで、ブラジャーをたくし上げ、両手で自らの乳首をはじくように何度も愛撫した。かれんは、まるで男性が勃起したときのように自分の乳首がここまで硬く敏感になることに、自分でも驚いた。人差し指と親指でキュッ、とつまむだけで、ビクンビクンッ、と子宮が激しく動き、連動してかれんの腰もいやらしく痙攣する。愛液が溢れ、同時にだらしなく半開きになった口の端からよだれが流れる。かれんは理性を失った。そして股間に手をすべらせた瞬間、誰かが入ってきた。隣の個室のドアが閉まるその音で、かれんはギリギリのところで思いとどまったけれど、これが今朝のことだった。
それからはずっと、淫らな妄想にとりつかれた一日だった。デスクに手をついてお尻を突き出して、スカートをたくし上げる。すると社内の男性がひとりずつ、後からかれんを犯していく。かれんの膣内にはさまざまな男性の精子が溢れ、かれんはたくさんの男性に求められ犯され種付けさせられるという、女性の奥底にある本能を満たされていく。そして、精子を提供してくれたお礼として、順番に男性社員のデスクの下にもぐり、跪いて、かれんの膣で汚れたペニスをフェラチオ奉仕で綺麗にしていく……かれんは自分にそんな破滅的な欲望があるとは思えなかったけれど、後輩の男性社員に体調が悪いんですか? と声をかけられたとき、頬を赤らめながら彼の顔を見つめたあと、自分でもわかるくらいにじっくりと股間を見つめてしまっていたことに気づいて、絶望的な気分になった。
・・・
タクシーが道路の段差を踏んだのか、ガタンッ、と揺れた。尖った乳首がブラジャーの内布と擦れ合い、かれんは再び、快感の電流に全身を犯された。そして電気仕掛けの人形のようにビクンッ、と跳ね上がり、思わず撫ぜていた手でギュッ、と下腹部を掴んだ。
「ぁ…っっ!!」
「お客さん、どうかしましたか?」
「ぃ、ぃぇ……大丈夫です……すみましぇん……」
――え……これなに……? 私、いま……軽く逝っちゃったの……?
かれんはもう一度、自分の手で下腹部を撫ぜてみた。今度はもう少し強く。
すると、まるで海の奥底からのうねりのような、深い深い快感がかれんを襲った。
「くっ……っっっ!!」
――や、やばすぎるっ!……これ、なに……?
かれんは知らなかったけれど、偶然にも外側から子宮を揺さぶる「外イキ」を軽く体験したのだった。
それはクリイキのような激しい快感ではなく、海底からのうねりのような、深く大きな快感の波だった。あまりにも気持ちよすぎて脳がそれを処理できなくなりそうな危険を感じながらも、かれんはもう一度、ゆっくりと自分の手で外側から子宮を刺激しはじめた。
(続く)