かれんはダリウスとの主従関係を深めていった。ダリウスの調教はときに厳しくもあったが、支配者としての信念と愛情があった。だからかれんはダリウスを信頼したし、どんなに変態的なプレイでも、本来の真面目な性格で取り組んだ。彼女がこれまで歩んできた人生と同じように、淫靡な変態世界でも、かれんは優等生だった。
一週間の仕事を終えた金曜の夜、かれんは早々に帰宅した。実は先週、かれんのチームに配属された東条という男の歓迎会があったのだが、少しだけ顔を出して、体調不良を理由に抜け出したのだった。東条はかれんの4歳年下、特にこれといった特徴のない平均的な男子だが、歓迎会では早々と酔ったのか、かれんのことをべた褒めしてきた。
「こんなに綺麗な人がリーダーなんて、僕、本当にラッキーです。なんていうか、かれんさんって知的な美人っていうか……でもそれだけじゃなくて、真っ暗い夜空に光る星みたいな?なんか、そんな美しさがあります……!」
歓迎会の席だからといってそういう発言はセクハラになるよ、とかれんが言い返そうとしたところで、ダリウスからのメールが届いた。
ダリウスからのメール:
明日21時、聖国ホテルのスイートルーム。マゾ奴隷にふさわしい服装でくること。
――マゾ奴隷にふさわしい服装……
かれんの返信:
ご主人様、かしこまりました。ご命令ありがとうございます。ご主人様……明日、お会いできるのですね。本当に嬉しいです。
かれんはすぐにそう返信すると、「ごめん、ちょっと熱があるみたい。感染させちゃうと悪いから早めに帰ります。東城くんごめんね。来週からの働きぶりにも期待してるからね」
と言い残して、明日のダリウスとの逢瀬に備えることにしたのだった。
とはいえかれんにとってこの指示は、頭を悩まされるものだった。マゾ奴隷にふさわしい服装と言えば、露出度が高く、道行く男性の目をくぎ付けにするような、しかしそれでいて下品ではない恰好のこと。例えば、ぴたりと身体に張り付いた、かれんのお尻がぎりぎり隠れるくらいの革製のワンピース。それは背中側に、尾てい骨の上くらいまでの深いスリットが入っていて、白磁のように輝くかれんの背中が、取れたての桃のように丸い尻を強調するデザインだった。または、絹のように滑らかな谷間をことさらに強調する、深いVネックのタイトなセーターに、マイクロミニ丈のプリーツスカート。網タイツを履いて、8センチのピンヒールで仕上げる。そしてなにより、奴隷としての象徴である首輪。かれんは他にもさまざまなアイテムをダリウスから与えられていたが、それらを管理し、そして主人を悦ばせるためのコーディネートを考えるのは、かれんの奴隷としての仕事でもあった。
服装管理の目的は、男性たちの視線にさらされるという羞恥によってかれんの子宮が疼き、その疼きが愛液となってかれんの膣内を潤わせ、そしてしっとり割れ目を湿らせることにある。いわば服装による前戯のようなものだ。実際にこれまでの調教でも、かれんがホテルに到着する頃には、彼女はすっかりエロモードにスイッチが入ってしまい、スイートルームへ向かうエレベーターの中では、溢れる愛液の甘く淫猥な匂いが立ち込めることさえあった。もっと言えば、マゾ奴隷にふさわしい服装について想像するだけで、かれんの下品なおま〇こは、お〇んちんを欲しくてたまらなくなる。これが、服装管理の基本だった。
かれんはこの頃には、奴隷としての装いをするだけでダリウスに触れられ、やさしく前戯をしてもらう感覚を味わうことができた。また何度も命令を読み返し想像するだけで、かれんの乳首は固く勃起し、子宮の奥はジンジンと疼き、そしてクリトリスは刺激をもとめてピンと張りつめるのだった。今日もかれんは普段の仮面を捨てて、雌奴隷と化した。
――ああ……オナニーしたい……いま、シちゃダメかな……?
しかしもちろんかれんは、服装だけでなく自慰も管理されている。指示なしに自分で自分の敏感なところに触れることは、一切できない。
――どうしよ、がまんできない…………ごしゅじんさまぁ……おなにぃ……させてくだしゃいぃ……
かれんはこういうとき、部屋の中で服を脱いで裸になった。そして四つん這いなって、頭を下げて尻をあげる。つまり雌犬奴隷が男性器の挿入をねだる姿勢で、ひたすら自分の内で暴れる淫獣に耐えるのだ。内股を愛液が伝い、口の端から涎が垂れてきた。
かれんの愛液は、海を思い出させる潮の香りに媚薬の甘い匂いが混ざったような、人間の本能をむき出しにして欲望を何倍にも増幅させる効果をもつ、禁断の精油のような芳香がした。かれんが生まれてからずっと抑え続けてきた本当の欲望の本質、愛液に染み込んでしまったのかもしれない。かれんの涎は淫靡に輝き、それは清純な乙女の涙のような美しささえ感じさせるものだったが、かれんはただの下品な欲情したマゾ奴隷に成り下がっていた。
四つん這いになったかれんは、手のひらでゆっくりと内股をさする。
――ちょ、ちょっとだけなら……いいよね……おま○こに触れなければ……
そこはすでにかれんから溢れた愛液で濡れていて、かれんはそれを指ですくった。
――こんなに濡れるようになっちゃうなんて……いままでずっと、こんなじゃなかったのに……
指ですくいながら、少しずつ、股間へと近づいていく。
――あっやばっ……触りたい、お○んこ……さわりたいよぉっ……!
とっさのところでかれんは踏みとどまり、しかし代わりに指についた愛液を、口にふくんだ。
――ああ……美味しい…おいしいよぉぉ……どうしよ私……へ、へんたいになっちゃうよぉぉ……
かれんはすでに変態だった。頭脳明晰、真面目で明るい社内の期待のホープ。スレンダーだがメリハリのある上品なスタイルは、彼女の知性、そしてチームリーダーとしての振るまいとも相まって、その美しさをさらに引き立てていた。完璧すぎて近寄る人間がいないとか、我が社には場違いだ、などと囁く人間もいた。
そんなかれんはいま、自分の指を三本重ね、まずは手のひらを舌先でゆっくり、そっと舐め上げていった。ちょうど、男性器の下の陰嚢を優しく刺激するように。そしてゆっくりと、しかししっかりと力を入れて、裏筋からカリ首へと舐め上げていく。そして今度は、自分の口を膣に見立てて、三本の指をじゅぶじゅぶ、と口の中に出し入れした。濡れた彼女の小陰唇が肉棒に吸い付き、膣内へ誘導するかのように、柔らかな唇をねっとりと指に這わせた。そして奥深くまで挿入し、できるだけ喉奥を刺激した。そうやってえづくことで、まるで犯されているかのような錯覚を味わい、子宮の奥がキュンとなることに悦び、愛液を溢れさせた。溢れる愛液を内股からすくい、それをしゃぶる。そしてまた、自分の指をフェラチオした。
これで欲求不満が解消されるわけではなかった。でも、もう少ししたら、自分の指で喉奥を犯すだけで、逝けるようになるかも?。そうしたらご主人様は、やっぱりそれも管理されるのだろうか?
――それよりまずは、明日のご命令をきちんと守らなくちゃ……そうだ、がんばって服を選んで、写真を送ってご主人様に褒めてもらおう。そうしたら、絶頂のお許しもいただけるかもしれない……
かれんはやっと、気持ちを切りかえることができそうだった。奴隷としてご主人様に褒めていただけるのは、なにごとにも代えがたい悦びのひとつだ。かれんは立ち上がると、全裸のまま、欲情して濡れて火照った膣内から愛液を垂らしながらクローゼットに急いだ。